ファッション&ART

PARISオートクチュール展@三菱一号館~圧巻の職人技&ファッション史をお勉強❢~

更新日:

会期終了まであと少し、やっと『PARISオートクチュール展~世界に一つだけの服~』へ行ってまいりました❣

 

この時期、話題の『伊藤若冲展』と会期が重なり、週末でも思ったよりも混雑せずゆっくり観ることができました。オートクチュールなんて、庶民には縁のない夢の世界。いったいどんなものか❓!と興味津々でじっくりと観てきました☆

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ファッションが学べる、コスパの良い展覧会カタログを手にして『ふむふむ、、、なるほど!』と帰宅後もファッションの世界を堪能♡

この記事は、PARISオートクチュール展・カタログ写真も転載しながら、一緒にファッション史を学んじゃいましょーという内容です。

 

5/22(日)の会期終了まであと少し!三菱一号館美術館のPARISオートクチュール 世界に一つだけの服  概要と見どころ

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三菱一号館美術館・情報

アクセス:東京駅 丸の内南口 徒歩5分

開館時間:10時~18時 5/22(日)まで

入館料:大人1700円

 

オートクチュール展・3つの見どころ

○パリ・モードの殿堂が監修、2013年パリで人気を博した展覧会を、三菱一号館に合わせて再構成

○19世紀後半から現代までのオートクチュールの歴史を実際のドレスを観ながらファッション史を学べる。

○時代を映すシルエット、受け継がれる世界最高峰の刺繍・羽細工・コサージュなどの職人技を、この目で観れる!

 

ファッションは流行を繰り返しながら、時代を超えて進化する!

 

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展示は【19世紀、1920年代、1930年代、40年代、50年代、60年代、70年代】に区分され、部屋がが分かれている。

そのため、時系列にオートクチュールの歴史、ひいてはファッションの歴史を目で観て感じて、学べるようになっている。

今回の展示で興味深かったのは、ファッションの流行(デザイン)は繰り返すと言われているが、それを表すように、各時代のデザインスペースの中に、過去のデザインと対比するように生まれ変わった現代のデザインを展示しているところ。

 

~いつの時代もデザイナーは、前時代のデザインにインスパイアされて現代風にアレンジしていく~

 

ここでは、カタログ写真を転載しながら、いくつか見てみましょ☆

19世紀後半より

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現在のオートクチュールの基礎を築いた元祖、イギリス人のウォルト・フレデリックのイブニングケープ(写真右上、19世紀後半、夜会服の上に羽織るマントのイメージ)。写真右下は、1987年クリスチャン・ラクロワのイブニング・コートドレス。

ラクロワは、1991年にも同様のイブニングアンサンブルを発表(写真左)。いずれも、19世紀懐古趣味の作品。今流行のフリンジもついてますね!

写真右の作品は、いずれも赤地に大柄な花模様の装飾がありますね。

 

1920年代より

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コルセットを外して、直線的なラインの開放的なドレスへ。狂乱のフラッパー時代の到来です!

写真右白いドレスは、1928年アニエスのイブニングドレス。その隣の黒いドレスが、40年後に復活したイブ・サンローランのイブニングドレス。(1968年発表)直線的なラインでダンスが踊りやすいこのような形のドレスをフラッパー・ドレスと言います。

白いドレスの裾はアンシンメトリー、黒いドレスの裾はフリンジがついてますね!

写真左の小物は、1910年~20年代に流行った帽子&カバン。頭をすっぽり包む形状の帽子は、ボネといって、当時町中で大流行したもの。白いドレスとトータルコーディネートした姿をイメージしてみて!

 

1930年代より

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この時代は、ドレスの丈が再び長くなり、自然な形で女性の体に沿う『女性の身体をなぞる』ようなシルエットが多い。

さて問題です!

左右の写真は、どちらが現代のドレスでしょうか❓

 

答えはモチロン右の写真です!ジャンポール・ゴルチエのイブニングドレス(2006年)ドレスには青い鳥の名前がついてます。プリーツ加工した絹ジャージー×胸元が透けて見えるオーガンジー...セクシーですよね~。

写真左は、モリヌーのイブニングドレス(1937年)。光沢のある絹ベルベットで重厚感がありますね。しかし、袖がドレスの裾より長いのは、ちっとも実用的でないんですけど(-.-)

 

1940年代より

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時代は占領下のパリ。物資の不足により、大戦中に衣装は配給制となった。

写真左は、イブ・サンローランのミニのイブニングドレス(1970年)。背中の大きく開いたベアバック&シャンティイのレースが特徴の1940年代懐古趣味の作品。隣はデザイン画。

写真右は、1930年代にアートの影響を色濃く受けた個性派デザイナー、スキャバレリのプチ・ディナードレス(1943年)。ウエストラインにあしらわれた絹糸のビーズ、ガラス細工の刺繍は、職人の超絶技巧でしょう!

 

50年代より

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エレガントなオートクチュールの最盛期です。外で働く新時代の女性を意識した、ウエストをキュッと絞ったテーラードスーツが登場。

写真左は、スペイン出身のバレンシアガのテーラード・スーツ(1952年)。

写真右は、ピエール・カルダンのテーラード・スーツ(1958年)。

そして真ん中は、奇抜なショーで有名なアレキサンダー・マックインーンによるジヴァンシ・パンツスーツ(1999年)。マックイーンのファッション・ショーはホントに愉しいので、YouTubeで検索してみて❣

 

60年代より

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60年代は、多くのオートクチュール・デザイナーが世代交代をした変革期。

新時代の感覚が、新鮮なデザインを打ち出すなか、世界で一つだけのオートクチュールから、高級既製服のプレタポルテへ移行していく時期でもあった。

写真のデザイナーは、だれでしょう?

もう、お分かりですよね(*^^)v

 

もちろん、シャネルです☆

写真左は、有名なココ・シャネルのテーラード・スーツ(1960年)。シャネルスーツの原型とも言えるスーツですね☆

写真右は、シャネルの後継者であるカール・ラガーフェルドによるシャネル、コートドレス(1995年)。一見スーツにみえるけれど、実はワンピースタイプの白ラインがだまし絵タイプのドレスシャネルスーツの普遍性を表現した、遊びゴコロのあるドレスです♡

 

ファッションは時代を映す鏡。ザックリとファッション史を学んでみる?!

ファッションとアートが連動しているように、ファッションと経済も連動しているようです。ここでは写真を見ながら、ファッション史をざっくり学んでみましょ〜♫

 

19世紀はオートクチュール誕生のとき

従来、宮廷貴族のために製作された仕立服は、彼らの好みに沿うようにお抱えの職人がドレスを製作していた。前時代のマリー・アントワネットしかり。

しかし、19世紀後半にパリに渡ったイギリス人のフレデリック・ウォルトが下積みを経て、1858年にオペラ座付近に『ウォルト&ボベルグ』という初めての女性向け高級仕立服店を立ち上げた

ウォルトは以下のとおり、現在のオートクチュールの基礎を作り上げたのです!いわば、オートクチュールの父みたいなもんです。

 

●季節ごとに新作コレクションを発表

●マヌカンという今でいうファッションモデルを起用

●デザイナーの生み出したモデルを顧客に選ばせ、購入させる

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の写真は、ウォルトのドレス(1885年)。ウォルトのメゾンには、ウィーン会議でお馴染みのメッテルニヒ夫人やナポレオン三世の皇妃がお得意様で繁盛したようです。

また、写真の小物は、帽子、ストール、マフ(1909年)マフとは手を温めるための円筒形のカバーで、当時の装身具(真ん中)。

19世紀を象徴するデザイナー:フレデリック・ウォルト、マルセル・ドウメ

 

 

1920年代、フラッパードレスと狂乱の時代

この時代は、ファッションでもアールデコの影響を強く受けた。アールデコは、【衣装、帽子、かばん、靴などの装身具、香水、瓶、調度品、じゅうたんなどのあらゆる身の回りのもの】に影響を与えたようです。

ファッションでは、長らく続いたコルセットから解放され、型から垂れ下がる直線的なラインのドレスが主流に。

また、この時代のパリは、ジャポニズム(日本趣味)とも深い関係があり、着物から影響を受けたデザインもあり。

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写真左は、デザイン画とレターヘッド。写真右は、ジェロームのイブニングドレス【楽園】(1925年)。アールデコの幾何学模様を下地にしたデザインと、豪華な刺繍と飾り。この時代を代表とするフラッパードレス!こういうドレスを着て、ダンスに興じていたのでしょうね♪

1920年代を象徴するデザイナー:ポール・ポワレ、マドレーヌ・ヴィオネ、キャロ姉妹、ジャン・パトウ、パキャン、ジェローム、アニエス

 

 

1930年は女性らしいシルエットの中に簡素な美~テーマは女性性〈フェミニニティ〉~

1929年の経済恐慌のあと、ウエストラインの上がったロングドレスが流行。古代ギリシア・ローマの彫刻みたいに、均整の取れた簡素な美が求められた。

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写真左から、シャネルのイブニングドレス(1930年)。マドレーヌ・ヴィオネのイブニングドレス(1928年)。右下も、シャネルのイブニングドレス(1937年)。

またジャージー素材にドレープやプリーツを使用したドレスが作られたり、背中の大きくあいたボディコンシャスのイブニングドレスが登場。

また1930年代は、アートでは前衛芸術のピカソを代表とするシュルレアリズム、ロシア・アヴァンギャルド、キュビズムが、活発に活動。デザイナーのスキャバレリが、前衛芸術にインスパイアされたデザインを発表。

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写真左から、ヴィオネのイブニングコート(1934年)、アライアのイブニングアンサンブル(2014年)は修道女の衣装から発想を得たとか。・・・らしいですね。

写真右上スキャバレリのイブニングケープ(1936年)は、ちょっと岡本太郎の太陽の塔に似てますね。右下が、ジャン・バトのジャケットとドレスのイブニングアンサンブル(1939年)。

う~む。どれも個性的!!!

1930年代を象徴するデザイナー:シャネル、スキャバレリ、ジャンヌ・ランバン、ルシアン・ルロン、ジャン・パト、モリヌー、ルシル・パレ、ロベール・ピゲ

 

40年代は占領下のパリ、物資不足でオートクチュールも影響を受けた

1940年にパリがドイツ軍の侵攻を受けたとき、オートクチュールをウィーンやベルリンへ移設する計画があった‼しかし、オートクチュール組合は移設を拒み、戦後のオートクチュール復興へ向けて奮闘努力した。

この時代に特徴的なのが、コストが安くシルクのような光沢を見せるための素材、アセテートのドレスが登場。通常、オートクチュールでは使われることのない安い素材を使わざるを得なかった当時の深刻な状況が伝わってくる。

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写真左スキャバレリのイブニング・コート(1939年)。前衛芸術にインスパイアされたスキャバレリらしい大胆な色使いですね。

カルヴェンのイブニングドレス(1945年)。このようなドレープ使いは、現在のデザイナーに影響を与えているようですね。

残念ながら、実物で観ても素材が安いことが一目でわかる作品群でした。

40年代を象徴するデザイナー:バレンシアガ、グレ、スキャバレリ、カルヴェン、ジャック・グリフ、ブリュイエール

 

50年代はオートクチュールの最盛期☆クリスチャン・ディオールの影響とニュールックの登場

戦後間もなく、クリスチャン・ベラール&ジャン・コクトーにより『モードの劇場』が開催。〈ドレスを着た人形達のファッションショーのようなもの。〉

ファッションへの肯定的なメッセージが、パリ・ロンドン、チューリッヒ、バルセロナ、コペンハーゲン、ストックホルム、ウィーン、リオ・デ・ジャネイロ、NY、サンフランシスコへと各地へ広がる。

クリスチャン・ディオールの『ニュールック』が登場。コルセットを再び使用し、ウエストを絞ったドレスは、新たな女性らしさとして流行。服飾史上のターニングポイントとなった!

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写真左が、ディオールのカクテルドレス【ニューヨークの夜のパーティ】1955年。

ジャック・エイムの室内用ドレス【シャレー】1951年。

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写真左から、ジャック・ファットのイブニングドレス(1951年)。バレンシアガのイブニングドレス(1952年)。写真右が、ディオールのカクテルドレス【コティヨン】(1956年)。

キュートなカクテルドレスから、シックなイブニングドレスまでオートクチュール華やかなりし頃のデザインです♡

50年代を象徴するデザイナー:ディオール、バレンシアガ、ジヴァンシ、ピエール・カルダン、ジャック・エイム、バルマン、ジャン・デセス、ジャック・ファット

 

60年代は世代交代、新感覚の斬新なスタイルが次々と登場!

世代交代したクチュリエ達は、ポップ・カルチャー、未来的感覚、スペース・エイジといった60年代的な多種多様なスタイルからインスパイアされたようです。

一方、オートクチュールの全盛期は陰りを見せて、プレタポルテ(高級既製服)へモードの主役が移行した時期でもある。大量生産の時代にオートクチュールは採算が取れずに閉鎖するところも...。

また、クレージュがオートクチュール初のミニスカートドレスを発表。(ミニはロンドンのマリー・クワントから流行)

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写真左は、パコ・ラバンヌのミニドレス(1968年)。シルバーの金属チェーンで作られたドレスはとってもキュート。は、ピエール・カルダンのドレス【的】(1966年)。大胆な色彩と構図が60年代風。ナルホド、アーチェリーの的からインスパイアされたのがわかりますね。

60年代を象徴するデザイナー:クレージュ、ウンガロ、サンローラン、カルダン、ラバンヌ、シャネル

 

1970年代以降はオートクチュールのメゾンが激減!

1940年代に100を超えていたオートクチュールのメゾンが、1960年代以降に激減して、2015年時点でクチュール組合の承認を受けているメゾンは、わずか14まで激減した!

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写真左は、ピエールカルダンのイブニングアンサンブル(1973年)。カラフルなオーストリッチのポンポンが面白いですね。後姿の写真です。

ジヴァンシのイブニングアンサンブル(1971年)共にかなり個性的('ω') 

70年代を象徴するデザイナー:カルダン、ジバンシ

映画で観るファッション

映画や文学を通してファッションを観ると、より深くその時代のファッションを愉しめますね☆

ここでは、この時代にはこの映画を!と連動させてみました。

 1920年代狂乱の時代、フラッパームービーはもちろんコレ!

●映画『華麗なるギャツビー』(2013年レオナルド・ディカプリオ主演

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プラダ、ミュウミュウ、ブルックス・ブラザーズが1920年代の衣装をさらに洗練させて絢爛豪華な衣装を堪能できる☆

●映画『華麗なるギャツビー』(1974年) ロバート・レッドフォード主演

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より原作に近い名作。

映画原作『グレート・ギャツビ―』F・スコット・フィッツジェラルド作

初期の村上春樹作品でオススメされていたあの、フィッツジェラルドです。1920年代の狂乱の時代をそのまま経験してきた作者ならではの描写が、1920年代の空気へいざなってくれます。作中の主人公ギャツビーの邸宅イメージは、さしずめ箱根芦ノ湖にある箱根プリンスでしょうか?!

 

50年代のジバンシーの衣装は、ヘップバーン映画が外せない!

ロマンチックなイブニングドレスを堪能するなら、モノクロ映画『麗しのサブリナにうっとり☆古き良き時代のおとぎ話です。主演:ヘップバーン、ハンフリー・ボガード

 

●あまりにも有名な映画『ティファニーで朝食を』背中がセクシーに開いた黒のロングドレスもジバンシー作です。オードリー相手役のパトロン女性の衣装にも注目❢50年代風スーツをカッコよく着こなしています。

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映画『パリの恋人』でもオードリーはジバンシーの衣装で登場します!この映画はタップダンスで有名なフレッド・アステアとのミュージカルシーンが見どころ。ヘップバーンは子供の頃バレエを習っていたので、作中で個性的なコンテンポラリーダンスにまた新たな魅力を発見☆まさに、映画で観るファッションショー、お洒落さん必見です❢

 

50年代~60年代のフランス映画でファッションを学ぼう♪

●やっぱり、ゴダール監督の『勝手にしやがれ』でしょ(1959年フランス)。手持ちのカメラで撮るカメラワークが抜群にカッコよく、ヌーベルバーグの代表作ですよね。ベリーショートにしたジーン・セバーグのストライプのドレスは今でも十分お洒落。相手役のワル男ベルモンドのファッション、セリフもしびれます~(*´ω`)

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●そして、60年代お洒落映画で忘れちゃいけないのが...dabadabadaでお馴染みの『シェルブールの雨傘』1964年。カトリーヌ・ドヌーブの髪型+衣装+お部屋がトータルでお洒落なんです♡

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それにしても、50年代~60年代ってファッション大豊作の時代ですよね。現代でも、幾度となくリヴァイバルしているし。85~90年のバブルファッションなんて、今見ると本当にイケてないのにね😢

そして、昔の洋画とファッションを愉しめる指南書は、『Videoまっしぐら』石川三千花著。20年以上の前の本だけど、イラスト付きで眺めているだけでも退屈しない。この本を読むとTSUTAYAレンタルしたくなること請け合い!

時代を超えてもまだ、古くならない貴重な一冊です♡中古しかないかもしれないけど…。

 

( ´ー`)フゥー...ここまで7200文字。愉しくて、ずんずん書いてしまいましたー。

長い記事を最後まで見てくれて、ありがとうございます(*'▽')そして、写真の画像が粗く見づらくてすみません...。

 

展覧会、映画、アート、本などには、お洒落のヒントがいっぱい詰まってますね。ちょっとずつでも、素敵なものに触れて、感動して、ココロの豊かさにつなげていければこんな幸せなことはないなぁ。。。と思うこの頃。

Ciao!

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