Chantal Dumo ~ささやかな癒しと自由を求めて~

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ヒラリー・ハーンのコンサート回顧録~2013年11月オペラシティにて~

更新日:

こんにちは、かりんです。

前回のヒラリーハーン論に続き、2013年のコンサート記録です。近ごろはヒラリーハーンの来日コンサートが減ったため、少し昔に遡りますが...  当時を振りかえってみましょう。

当記事は、goo blog『いつもココロに栄養を』から主人の寄稿記事を加筆修正して移動しました。

ヒラリー・ハーン論~2013年11月来日に寄せて~

こんにちは、かりんです。 この記事は、2013年goo blog『いつもココロに栄養を』に主人が寄稿 ...

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ヒラリー・ハーン コンサート回顧録 2015~フィルハーモニア管弦楽団演奏会 指揮 エサ=ペッカ・サロネン~

こんにちは、かりんです。 主人のヒラリー・ハーン記事、第三弾です。近年、ヒラリーハーンの来日回数が減 ...

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ヒラリーハーンのコンサート評

11/18 東京オペラシティ・コンサートホールにて
アンドリス・ネルソンス指揮 バーミンガム市交響楽団 ヒラリー・ハーン(Vn)

当夜のお目当てはヒラリー・ハーンのシベリウスだったのですが、その前にオケと指揮者について一言。

バーミンガム市響を聴くのは初めてですが、いいオケです。弦・管共にいい。

いわゆるローカル・オケですが、自分たちの音楽はこうだというポリシーがあって、自分たちの音楽を作り上げているのがはっきり感じられました。

だから、ワーグナーにしろ、ドボルジャークにしろ、ドイツ系・スラブ系色を出すよりも自分たちのカラーに同化し、自分たちの音楽として提示し、逆にそれが非常にフレッシュなサウンドとして届きました。オケの技量は高いです。

 

例えば「新世界」のホルン。4楽章の終盤、音符が細かくなって駆け上がるフレーズを見事に決めました(ほとんどのオケがここで音を外す)。伝統ある楽器を鳴らす弦楽奏者たちも透明な川のような調べを奏でていました。

メンバーは互いに和気藹々とし、音楽を楽しく作り上げているのが伝わってきました。

アンコールもオケの特色を最大限に生かし、とても良かったです。エミール・ダージンズの「憂鬱なワルツ」。

指揮者のアンドリス・ネルソンス。気さくでユーモアを交えた語りがとてもいい。日本の聴衆を信頼していました。定期的に来日していただきたい方です。ただし、練習は厳しいのでしょうね。鬼となって鍛え上げた結果が、綻び一つない見事なオーケストラです。

 

さて、ヒラリー・ハーンのシベリウスです。

今回はアンコールまで、前回のBBCフィルと同じという内容でした。(アンコールはバッハの無伴奏パルティータ第2番よりサラバンド)

全体の印象はだいぶ崩してきたなという印象です。乱れたという意味ではなく、楽譜通りの演奏を越えてきたという意味です。滑らかなフレーズを区切って奏した箇所がそうです。そしてとても力強かったです。ダイナミクスも見事でした。

前回の演奏が完全なる造形美を目指したとすれば、今回は形式を破壊しかねないまでの荒ぶる熱情でしょうか。多少の雑音や乱れも気にせず引き切ったという感じでした。終演後はかなり疲れられたかと想像します。それほどの熱の込めようでした。

1楽章入りは早いのですが、その妖精の調べにすぐ引きこまれました。やがてテンポは遅くなります。カデンツァでそれがピークになり、止まるかと思われる慄然とした瞬間もありました。良い悪いは別としてその1楽章の熱演がオケのメンバーに伝染し、彼らのテュートン魂(!)を目覚めさせてしまったようです。

2楽章からオケの音量が凄くなり、ヴァイオリンの音が掻き消される瞬間も増えました。協奏曲の前にメンバーは減っているはずなのですが、鳴りはワーグナー以上でした。2楽章はメロディーが単調なだけあって演奏が難しい楽章だと思います。奏者の真価が問われそうです。ヒラリーは速めのテンポで男性的に謳い上げ、見事に切り抜けました。振り返ると1楽章は女性的な音楽だと思われます。

3楽章はさながらテュートンの軍神の楽の音でしょうか。躍動的で戦闘的、力強いサウンドが超絶技巧を交えて展開します。一瞬でもタイミングが狂うと空中分解してしまう難所も軽々飛び跳ねていきます。軍勢の見事な煽りと統率です。

そして最後に魅力的な四分音符と三連符の刻みのフレーズが続きます。こういう経過のパッセージを聴かせるとしたら右に出る人はいないでしょう。ただ、今回は力を入れすぎず、割合あっさり目に演奏していました。全体的に力の入り抜き、緩急、フレーズの処理など、かなり自由度の高い演奏だったと思います。終演後ブラボーが飛び交いました。

席は5月の時の反省から、三階のステージ向かって左にしました。これが正解で手にとるように聴き取れました。ただし、弾き振りがほとんど見えなかったのが残念ではありましたが。

髪を短くソバージュにしたヒラリーのステージ衣装は、妖精のごとき白のドレスでした。
(アンコールのバッハはこれまた草書風で、肩をほぐすに十分でした。)

終演後ネルソンス氏とヒラリーのサイン会が、いつもの通り開かれました。

 

2013年 11月 オペラシティのヒラリーハーン コンサート 演奏曲目は以下の通り。

ワーグナー:歌劇「ローエングリン」~第1幕への前奏曲
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
(アンコール)バッハ:無伴奏パルティータ第2番よりサラバンド

~休憩(20分)~

ドボルジャーク:交響曲第9番「新世界より」
(アンコール)エミール・ダージンズ:「憂鬱なワルツ」

 

執筆者 徹

 

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