小林倫子氏ヴァイオリン・リサイタル@オペラシティのコンサート記録です。
小林倫子氏ヴァイオリン・リサイタル@オペラシティ 2017年11月26日
ピアノ:日下知奈
曲目
モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ26番 k.302
ヴォーン・ウィリアムズ 揚げひばり
バッハ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番
シューマン ヴァイオリン・ソナタ第2番
〈アンコール〉
ヴォーン・ウィリアムズ:グリーンスリーヴスによる幻想曲
リンデン・リー
モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ26番 k.302
モーツァルトは二人にとって肩慣らしといった感じですが、単純なフォルムを如何に聴かせるか、手腕が問われるでしょう。いい滑り出しだったと思います。
ヴォーン・ウィリアムズ 揚げひばり
「揚げひばり」はラ・フォルジュルネでも披露されましたが、既に確固たる重要なレパートリーになっています。伸びやかな芯のある高音が冴えわたり、過度に叙情的でない品位を感じさせるものでした。
バッハ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番
バッハはリズム・和音とメロディーを如何に処理するかで、曲の印象は様変わりします。メロディー主体でなかったのは確かで、落ち着きをもって曲の重層構造に挑んでいたと思います。わかり易い演奏ではなかったかもしれませんが、バッハの原風景は捉えていたと思います。
シューマン ヴァイオリン・ソナタ第2番
シューマンは立派で貫禄ある演奏でした。落ち着いて慌てず、曲の魅力を最大限に出していたと思います。一楽章の情緒的主題に力を込めすぎると、後が続かず、スケルツォ風の2楽章辺りで曲の力に負けてしまいます。小林さんは曲自体を俯瞰する高い視野に立ち、落ち着きをもって音楽に向き合いつづけ、最後までへたれることはありませんでした。
知的で端正な落ち着きに貫かれた演奏会だったと思います。
【執筆者:徹】
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