こんにちは、かりんです。
この酷暑に『夏の外国人観光客の東京案内は、勘弁してええええええ(*´Д`)』と、暑さ×湿度にヘタレる日々💦
心なしか、都内で見かける外国人観光客の表情も、星一徹のように険しい表情になってますよね、、、。夏に来た外国人観光客はきっと、『こんなはずじゃなかった( ;∀;)』と思っているのではなかろうか。
今日はこの暑さでも、背筋がピンと伸びるような『茶道』のお話です。
外国人観光客は日本の文化に深い感銘を受けてくださる方が多い。しかし、我らニッポン人は『日本の文化』....とりわけ『茶道』について質問されても『ソレハ、、、そのお。。。もごもごもごもご....(;´・ω・)』
となるケースが多いのでは???ワタシもその一人。聞こえなかったふりして『んっ?』と聞き返したりを数度どなく繰り返すと、お相手も『いや、いいんですよ。何でもない。』と質問を引っ込めてくれます。
こんな裏技?は何度も使えるわけではなく、茶道師範の友人に『ヘルプミー‼』して奨めてくれたのが、この本。
『日本人の心、伝えます』
千 玄室 茶道裏千家 第15代・前家元
本書は茶道が門外漢の人でも、分かりやすい『茶道のギモン』や『茶道の心得』を説いている良書です。
著者 千 玄室 茶道裏千家 第15代・前家元 のプロフィールは?
公式ホームページによると....
- 「一碗からピースフルネスを」の理念を提唱
- 世界60数か国を300回以上歴訪し、茶道文化の浸透・発展と世界平和の実現に向けた活動を展開
- 裏千家の海外拠点は34か国・地域107箇所
役職は?
一般社団法人茶道裏千家淡交会会長
外務省参与、ユネスコ親善大使、
日本・国連親善大使(外務省)
日本国 観光親善大使(観光庁)
公益財団法人日本国際連合協会会長
公益財団法人ロータリー日本財団理事長
公益財団法人日本オリンピック委員会名誉委員
さらに、日本のみならず海外でも数多くの勲章を
- 紫綬褒章
- 藍綬褒章及び文化功労者国家顕彰
- 勲二等旭日重光章
- 文化勲章
- レジオン・ドヌール勲章オフィシエ(フランス)
- 独立勲章第一級(UAE)
- 大功労十字章(ドイツ)
- 聖マウリツィオ・ラザロ騎士団最高位大十字騎士(カヴァリエ)勲章
- 文化交流貢献賞(中国)
茶道を通して日本から海外へ長い期間、文化貢献された第一人者なのでしょうか。
後ほど本書を引用しますが、分かりにくく取っつきにくい『茶道』を一般人でも分かりやすく書き記しております。
疑問1 なんでお茶を幾人かで回し飲みするの?不衛生じゃないの?
ANSWER ー 同じ茶碗で飲みまわすから、絆が強まるのです。
まず抹茶には『薄茶』と『濃茶』の二種類あるそうな。
- 薄茶(うすちゃ)とは? 観光地の寺社や和風喫茶で和菓子とともに振る舞われる、ふわりと泡の経った抹茶が『薄茶』。すっきりとした味わいを気軽に愉しめる。
- 濃茶(こいちゃ)とは? 茶道で御茶といえば『濃茶』。旨味が多く上質でまろやかな極上の茶葉を使用。本格的にお茶本来の旨みと香りをじっくり堪能できる。
飲みまわしをするのは『濃茶』。
- 濃茶をいただいた後はその都度、飲み口を拭き清めるので、不衛生ではない。
- 一椀のお茶を分け合うのは、一座の連帯感を高め絆を深めるため。
- 濃茶の飲みまわしは、千利休から始まった。利休の心は、戦国武将と一つの茶碗を飲み回すという作法を通じて、お互いに信頼する和の心を教えた。
本書引用
一椀のお茶を分け合えば、平等な世界が広がります。茶祖・利休の信念、飲み回しこそ連帯感を高め、絆を深める。
疑問2 茶室の入口は、何でこんなに小さいの?
ANSWER ー 入口を小さくしたのは、千利休が謙虚さや和の精神、平和の大切さを教えるため
茶室にごく小さな出入り口が設けられている。これを躙口(にじりぐち)という。標準的には【高さ67㎝、幅63㎝】の大きさ。身をかがめて、にじって入る。
千利休は戦国時代の殺伐とした世の中で、一椀のお茶を介して武人に文を説き、平和な世を創ろうとした。織田信長や豊臣秀吉のような有力武将たちに、謙虚さや和、平和を訴えても聴いてもらえない。
そこで、躙り口です。躙り口の教えとは?
- 躙り口を通るときは誰もが頭を下げざるを得ない。(謙虚さ)
- 大小の刀が引っかかるので、刀も外す。(身分を取っ払う、皆が平等)
- かがみながら進むとき、自分の足元をみつめる。(自らを省みる心)
本書引用
茶室に入る時は、立場も肩書きもない『ただの人』になります。社会のしがらみを捨て、自分をリセットする時間。
疑問3 ユネスコ無形文化遺産『和食』本来の姿である『懐石料理』っていったい何?
ABSWER ー 懐石料理とは、禅宗の修行と深いかかわりがある。懐石料理は贅を凝らした料理ではなく、亭主自らが献立を考えた一汁三菜が基本である。
懐石はもともと、禅宗の修行に出す食事である。禅宗では、12/1~12/8までの8日間修行を行う。その8日間、悟りを開かれたお釈迦様にならい、修行僧たちは寝食を惜しんで座禅に明け暮れる。
8日間の修行中....
- 睡魔を追い払うために、縁側の石や不安定な石の上で座禅する
- お腹が減りすぎて、食べ物の幻覚がみえるほど
- 寒さも容赦ない
ひもじさと寒さをどうやってしのげるか?そこから生まれたのが、懐石料理の考え方。
つまり、温石懐炉【落ち葉などを集めて燃やす火の中に石を温めておき、それを布にくるんで懐(ふところ)にいれる。】
この懐にいれた石のように、寒さをやわらげ、空腹をしのぐ食事が懐石料理の本来の意味である。
懐石料理の内容や作法は?
飯椀、汁椀、、向付からスタート。
- 少量のごはんとみそ汁で空腹を落ち着かせる
- お酒
- 向付は、季節のお刺身など。お酒を頂いてから箸をつける。
- 煮物椀。魚介や鶏肉などを季節の野菜と取り合わせ、出汁をはった料理
- 焼き物。魚を焼いた料理など。1皿に人数分盛り合されているので、順番に取りまわす。
- ここまでが、一汁三菜。
- その後、箸洗(はしあらい)。白湯に近いお吸い物で口の中と箸を清める。
- 酒の肴。海の幸や山の幸が2,3種類盛り付けられる。
- 〆は、香の物と湯斗(ゆとう)。ゆとうとは、炒り米と塩を入れた焦がし湯で、これを茶碗と汁椀に注いで飲み、器をきれいにする。
懐石料理の作法の理由は?
- 最初にお酒とみそ汁をいただくのは、お酒と懐石後の抹茶をおいしく味わうため。
- ゆとうで器をきれいにするのは、亭主に余計な手間とらせないため。
本書引用
懐石料理の作法とは、自分も相手も、よりおいしく食事をいただくための知恵です。
ユネスコ無形文化遺産、洗練された和食の礼儀を習得する。
京都の日本料理・旬眞庵にて、本格的な茶懐石を体験できるようですね。
疑問4 茶の湯の名言『わびさび』ってどういう意味?
ANSWER ー わび=詫びる。さび=寂び。
外国人から良く聞かれる質問の1つだそうです。
『わび』...正直に慎み深く、おごらぬさま。『詫びる』に通じて、謝る素直さもまた『わび』である。
『さび』...枯れた渋い趣きや古びて味わいのあるさまを、美しいと感じる心。
以下、藤原家隆の歌が『わび』であると、千利休は言っています。
花をのみ待つらん人に山里の
雪間の草の春を見せばや
(花の開花のみを心待ちにしている人に、雪の間から芽生える草の姿にこそ、本当の春があるのだということを見せたい。)
本書引用
慢心しない心の美しさが『わび』、古びた味わいに美を見出すのが『さび』です。
静けさの中にも、『動』の気配を感じさせてこそ茶の奥義。
疑問5 『一期一会』って良く聞くけど、どういう意味?
ANSWER ー 単なる気に入ったものに、美味しいものを旅先で見かけた時に『一期一会の出会い』と使う人が多いが、茶の湯では『自分の命をかける』ほどの覚悟で使う言葉。
千利休の生きた時代は、身分のある者でも、いつその立場を追われるかわからない、いつ命を失うかわからない戦国時代。また、茶道具は当時、一国一城に換えられるほど高価で貴重なものだった。茶人たちにとっては、『(茶道具を)拝見できたら死んでもいい。』というほどの存在だった。
亭主も『この方にお茶を差し上げて良かった。今なら私は死んでもいい。』と思い、客は『このお茶をいただいてよかった。今この瞬間に死んでも構わない。』と胸を打たれる。これが本当の一期一会だそうです。
現代ならば、一期一会は『出会いの一瞬のすばらしさに心と心が触れ合うこと。』
本書引用
『このまま死んでもいい』と思えるような出会い、していますか?
誠心誠意、真心を尽くすことができたか、常に自問自答する。
ぼんやり分かっているつもりでも、言葉で説明できない茶の湯の心。上手く整理ができましたでしょうか?
本書を読んでいるうちに、現代日本人が忘れてしまった『やまと魂』を学ぶことができました。茶の湯の心は、実際に茶道を日々学ばなくても、生活の中で意識的に取り入れたい『謙虚さ』『相手をさりげなく思いやる気持ち』『誠実さ』『見栄を張らない、おごらない。』『飾らない美を見極める目』など、『日常生活を丁寧に生きるヒント』がいっぱいあるようです。
興味のある人は、『日本人の心、伝えます』千 玄室 著 を読んでみてくださいね。
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