こんにちは、かりんです。ラ フォル ジュルネ 2017『La Dance』でも沢山の素晴らしい演奏に出会えました。
2017年のコンサート記録を書くまえに、ラフォルジュルネ2014&2015の記事をまとめます。今年初のラフォルジュルネ デビューを飾った人も、過去にどんな演奏があったのか、読んでもらえると嬉しいです(*‘∀‘)
尚、この記事は、以前goo blog 『いつもココロに栄養を』で書いた3本のラフォルジュルネ記事を加筆、修正、まとめました。
ラ フォル ジュルネ(熱狂の日)音楽祭2014
[aside type="boader"] 以下のラフォルジュルネ紹介文は、2014年当時に書かれたものですが、2017年現在にも通じる内容が含まれているので、参考になるはずです。[/aside]
日本でのラ・フォル・ジュルネは好評のうちに迎え入れられ、地方にも「飛び火」するまでになりました(新潟、金沢、滋賀、鳥栖)。創始者ルネ・マルタン氏の膨大な知識と尽力には頭が下がります。]
ラ・フォル・ジュルネ2017の国内は、東京、新潟、琵琶湖での開催でした。
ラフォルジュルネ2014のテーマは
「これまで取り上げた作曲家&テーマ」+「アメリカの作曲家の作品」がテーマになっており、さながら音楽の一大絵巻図を見る感じです。まさに今年も聴き逃せない一大行事となりました。
公演の特徴や注目のアーティストなどを綴ってみたいと思います。
クラシックの公演を気軽に手軽な料金で鑑賞が、当初のモットー
まず注目すべきは、国際フォーラム内のみならず丸の内周辺の各会場で催される、相当数の無料コンサートの存在です。
ほとんどが音大生によるものでしょうが、彼らによってクラシック鑑賞の裾野は確実に広がったと言えるでしょう。新緑揺れるオフィス街の広場に流れるクラシックの調べに立ち止まり、ふと耳を傾けるのも優雅なひとときですね。
一方、有料コンサートの方はそれなりの著名アーティストが登場します。
音楽祭の初期の頃は確かに、1500円の席がもっとあったかなという気がします。これなら確かにお手ごろ感が出ます。しかし、現在は3000円、2500円が主流になりました。これを演奏時間で換算すると、まあ普通のクラシック・コンサート料金相当になっていると思います。つまり、有料コンサートに関しては、お手ごろ感は弱いかという感じです。それでも、限られた期間に国内外一流アーティストが集結というだけで壮観だと思います。
ラ フォル ジュルネお薦めコンサート会場
国際フォーラムとよみうりホール含めて8つありますが、小さいホールほど演奏者と間近で音楽を共有する一体感が得られると思います。
実際、国際フォーラムの小さい会場(B5、D7、G409)は演奏者が席の真ん前にいるといった感じで、他のコンサートホールではありえない感興が得られます。ですから、これまでの演奏会で印象に残っているのは、ほとんど小さい会場での演奏会です。
合唱曲、弦楽四重奏曲、ピアノ独奏曲など、可能なかぎりこれら小会場で聴いておきたいです。
ラフォルジュルネ2014のここが凄い!
凝ったプログラム~クラシック初心者からクラシック通までを唸らせる内容
「四季」「英雄」などの有名曲に混じって、かなり鑑賞難度の高い曲・演奏回数の極端に少ない曲が登場するのもこの音楽祭の特長です。それらをひっくるめて聴いてしまおうという方にはこの上ないチャンスです。
ヴァネッサ・ワグナー(ピアノ)のケージ、グラスなどの前衛プログラム、同じく広瀬悦子(ピアノ)の「ディアベッリ変奏曲」&現代アメリカ作曲家プログラム、ヴォックス・クラマンティスのラング、ケージなどの声楽、トーマス・エンコ・トリオのジャズ・プログラム、小曽根真の即興演奏プログラムなど、この音楽祭のためのものと言っていい、根っからのクラシック・ファンを越えた音楽ファン垂涎のものです。
ラフォルジュルネ2014 おススメ演奏会
ショパンのピアノ独奏がお薦め
と言うのも、前回ショパンがテーマだった2010年はチケット入手が困難をきわめ、聞き逃してしまったのが沢山ありました。おそらく、そういう方が結構いらっしゃるかと思いますので、再チャレンジと言う意味でショパンをお薦めの筆頭にさせて頂きます。
もう一つはイケメン弦楽四重奏団、モディリアーニ弦楽四重奏団の演奏会
若くフレッシュで力強い彼らの演奏に堪能したいですね。前回普段クラシックをあまり聴かれないような、若い華やかな女性が多数会場に詰めかけられました。クラシックを演奏内容よりも外面から入るというのは邪道かもしれませんが、重要な牽引力だと思います。プログラムを見る限り、今年のモディリアーニは八面六臂の活躍ですね。
ラフォルジュルネ2014 音楽鑑賞記録
それでは、具体的にラフォルジュルネ2014で堪能した、演奏について振り返ります。
モディリアーニ弦楽四重奏団(5/3 ホールB7)
以前〈モーストリー・クラシック〉で弦楽四重奏曲の特集をした時、プロが選ぶベスト四重奏曲のトップ争いに、ベートーヴェン後期作品に混じって当日の演奏曲目のドビュッシーとラヴェルが堂々入っておりました。
その二大名曲を一度に楽しめる贅沢なプログラム。
ドビュッシーでは三楽章のゆったりしたロマンティシズムが胸に染みました。ミックスされた豊穣な響きはライヴならではです。
ラヴェルは昨年に続き二度目ですが、やはり聴くにはやや難しい曲ですね。ドビュッシーの影響下に書かれた曲だということはよくわかります。それが単なる換骨奪胎(かんこつだったい)に終わっていないのが名曲たるゆえんでしょう。中でも、二楽章はピチカートのメロディがゆったり再現する所など、聴いていて面白いと思いました。
モディリアーニのメンバーは相変わらずかっこいいですね。髭ありと髭なしで二手に分かれておりました。音楽そっちのけで容姿に見ほれた向きもいらっしゃるかと思います。
フィリップ・ジョジアーノ演奏のショパン (5/5 よみうり大手町ホール)
ジョジアーノさんはフィギュア・スケーターのようなシルクの衣装で颯爽と登場。長身でルックスも目を引きます。
明快、さっぱりとした趣でショパン晩年の作品を弾きとおしました。かつてピアニストの及川浩治がショパン後期作品を一音の無駄のないパーフェクトな作品と語っておられましたが、それを実感させる演奏でした。
情感よりも構成を際立たせる知的なアプローチが光りました。 旋律の処理はエレガントで繊細、「ワルツ」のメイン旋律の末尾がすっと掬われる瞬間は息を呑みました。ホールは中央席が入りづらいだけで、音響的には悪くなかったと思います。
トーマス・エンコ・トリオによるジャズ・コンサート (5/5 ホールC)
ここはブルーノートかと思わせる雰囲気、ステージは後半どんどん盛り上げって行き、最高潮のうち終了しました。
アンコールもあったと思いますが、次のプログラムのため途中退席したのが、返す返すも残念。
何の予備知識もなく臨み、大満足のコンサートでした。トーマス・エンコという名前からしてソフト帽をかぶった髭面の男を連想していたのですが、実際はどこにでもいるような爽やかな好青年でした。
エンコのピアノとドラムス、ベースとの駆け引き、緩急緩の構成、各楽器のソロ・アドリブ、クラシックを思わせるクレッシェンドなど定番と言えるシークエンスに、どう個性・オリジナルを紛らせるかがコンサートの鍵になりますが、エンコはそこに懐かしい叙情を盛り込みます。かつてのフュージョン・バンドを思わせる優しいメロディーを散りばめたスロー・ナンバーにエンコの個性は光っていたように感じました。
ジャン・デュベによるピアノ小品 (5/5 G409)
ホールが変わり、小太りの大学教授の風貌のデュべさんの弾く明快で骨太なサウンドが一杯に響き渡ります。
前半ベートーヴェンのピアノソナタ6番、後半ベートーヴェンと他作曲家の小品が並ぶ地味めのプログラムでした。
前半は大真面目に厳格に演奏し、後半はこじゃれて見せた感じです。
圧巻はベートーヴェン小品「失われた小銭への怒り」でした。始まった途端笑いが止まりません。これこそ、「やわらかクラシック」の定番と言えるでしょう。コンサートのアンコールでも取り上げてもらいたいピースです。苦虫を噛みつぶしたような表情のベートーヴェンがころころ坂道を転がり落ちていく小銭をどこまでも追いかけていく、そんな光景が目に浮かぶ爆笑曲でした。
アンコールはピエール・サンカンの「左手のためのロマンティックなカプリチオ」とバッハの「前奏曲」でした。
広瀬悦子による「ディアベッリのワルツによる変奏曲集」(5/5 G409)
今回のラ・フォル・ジュルネの大とりは、この学究的ビブリオグラフィックな演奏会でした。
冒頭に「ディアベッリのワルツ」が奏され、後は変奏曲の一大絵巻です。
とにかく音に身を任せ、聴きとおすしかありません。装飾音符に凝ったもの、前編派手派手なもの、低音から高音まで鍵盤を存分に鳴らすダイナミックなものまで、どれが誰の作品か皆目わかりませんが、一つの旋律に作曲家の個性がこうまで現れるのかと感嘆しました。
広瀬さんのピアノは思い切りのよい伸びやかなもの。プログラムに対する意気込みが感じられました。
アンコールはリスト「ラ・カンパネラ」。
ラ フォル ジュルネ 2015 ~パッショネイトな日々~
5月2日(土)と4日(月)の2日行きました。今回は料金アップとスケジュール発表の遅さのため全体に人出は減っていたと思いますが、相変わらず熱心なファンが集まり、濃密な音楽空間を体験できたと思います。この場でしか聴けない音楽を楽しむというコンセプトがある限り、このイヴェントは今後も続けていってほしいと思います。今年のテーマはpassions(恋、感情=いのち、受難=祈り、)でした。
ラフォルジュルネ2015 5月2日(土)
コンチェルト・ブダペスト/アンドラーシュ・ケラー指揮 ホールB7
ベルク:抒情組曲 シェーンベルク:浄められた夜
最初からハードルの高い曲が来てしまいました。ベルクはもやもや掴み所がなく、いつもこんな感じだなあ、という印象。「浄められた夜」の方は、ロマン的に起伏をつけ歌い上げるのではなく、流れを重視し、平坦に小気味良く演奏していました。聴き易い演奏だったと思います。終結部の、星が舞い落ちるような弦の刻みがなんともロマンティックです。
ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール(ハート直撃コンサート) ホールA
シンフォニア・ヴァルソヴィア/ロベルト・トレヴィーノ指揮
大ホールということで懸念はあったのですが、思いのほか楽しめました。
ショーソン:詩曲 ショパン:ピアノ協奏曲第2番
プッチーニ、ドニゼッティ、ヴェルディ:オペラアリア集
ショーソンのドゥヴァルのヴァイオリンはもう少し近くで聴きたかった。非常に丁寧で立派な演奏でした。良い意味で、優等生ぽかったです。ピアノ協奏曲のデザールは素晴らしかった。バックのオケも素晴らしい。肩の力の抜いた柔らかいピアノを優しく包む繊細なオーケストラ。ショパンの理想的な響きになっていたと思います。アマンダ・パビアン(ソプラノ)とアレッサンドロ・リベラトーレ(テノール)のアリアは安定感があり、心ゆくまで楽しめました。ラスト・ナンバーのヴェルディ「乾杯の歌」は、アンコールでも歌われました。
ジャン=クロード・ペヌティエ(ピアノ)/ヤーン=エイク・トゥルヴェ(指揮)
ヴォックス・クラマンティス(合唱) ホールB7
リスト:十字架への道
本来は教会で聴くべき曲です。襟を正して聴きました。普通の信仰心では作れなかったような曲です。転調しては下降するピアノの不気味な音階。短かな呟きと挟み込まれる休符。女性の美しい斉唱。芯のある男声合唱。世の垢を洗い落とすべく、もう一度聴きたい曲です。ブルックナーは自身の第2交響曲をリストに献呈しようとしたのですが、彼らの共通項である信仰を体感させられました。
(この他にエリアコンサートとして、MC FORESTで14時45分からのフルートと弦楽器による四重奏を聴きました。敷布の緑が奏者の手や弓に映える様は、音楽祭らしく美しかったです)
ラフォルジュルネ2015 5月4日(月)
田部京子 ホールD7
ブラームス:主題と変奏 ブラームス:6つのピアノ小品
シューマン:トロイメライ シューマン:献呈
念願の田部さんのピアノを生で聴けました。音楽の安定性・表現力が抜群でした。そして気品溢れるステージでのたたずまい。トップ・レヴェルのピアノを堪能しました。最後の音が消え去る瞬間、無音の間も音楽であるという信念、最後まで丁寧な音作りが感じ取れました。一曲目は映画「恋人たち」のテーマです。二曲目は小品の呼び名がおこがましいほど、濃密な音空間です。ブラームスに駄作なし、との評が思い浮かびました。シューマンの2曲は大きく構え、演奏会を堂々と締めくくりました。
アントニオ・ザンブージョ(歌、ギター)、ポルトガル民謡〈ファド〉の世界
よみうりホール
フェスティヴァルの最後はガラリと雰囲気を変え、気軽なサウンドで締めくくりとしました。〈ファド〉は言わば、ポルトガルの歌謡曲、それを現代風にアレンジしたのがザンブージョの歌です。ボサノヴァ風だったり、シャンソン風だったり、味付けは様々で聴きやすく、一曲一曲は短いです。この機会を逃したらまず聴くことのないステージでした。ザンブージョは甘い高音が持ち味です。バックの4人(ポルトガルギター、バスクラリネット、フリューゲルホルン、ベース)もまた呆れるほど素晴らしかったです。個人的にはアンコールの一曲目が気に入りました。〈Your Coldness Freezes〉。アレンジが素晴らしく、〈ファド〉の雰囲気を今に伝えていると思います。
夕食は屋外の屋台で済ませました。温かいうちに摂る食事は美味、大月珈琲のショコララテも絶品でした。上空を淡い雲が駆け足で過ぎ去っていました。
【執筆者 徹】
以上、ラフォルジュルネ2014年、2015年のコンサート回顧録でした。合わせて、ラフォルジュルネ2016の記事もどうぞ(*‘∀‘)
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